このお家に直接ジャンプで飛んできてもいいって解ったから、僕は安心してジャンプの転移場所の印をつける事にしたんだ。
「まずは魔石を作んないと」
と言う訳で、早速クラウンコッコの魔石を取り出して、前に覚えたジャンプの魔力とおんなじ属性魔石に変えたんだよね。
そしたらさ、それを見たお爺さん司祭様がこんなこと言ったんだよ。
「ほう。時空間の魔石とは、また珍しいものを作ったのだな。一体何に使うのだ?」
「おお、そうじゃ! この色は時空間の魔石じゃ。いや、めったに見るものではないから、ラファエルに言われるまで思い出す事ができなんだ」
ロルフさんはね、前に見た時にこれが何の魔石か思い出せなかったんだって。
でもお爺さん司祭様が時空間の魔石だよって教えてくれたもんだから、ずっごく喜んでるんだ。
「ロルフさん、知らなかったの?」
「というと、もしやルディーン君は知っておったのか?」
「うん。最初に作った時に調べたら、そう出てたもん」
僕、ジャンプの魔法がどんな属性なのか知らなかったもんだから、最初に作った時に調べたんだよね。
だから知ってたんだよってロルフさんに教えてあげたんだけど、
「なるほど。確かに言われてみればルディーン君ならば知っておってもおかしくはないか」
そしたらあの時聞いとけばよj狩ったって、今度はちょっぴりしょぼんってしちゃったんだ。
「して、この魔石で何をするのだ? 遺跡やダンジョンで発見されるもの以外で、この魔石を使った魔道具は無かったと記憶しておるのだが」
「そうなの?」
「うむ。代表的なものは、マジックバッグだな。その他にもマジックバッグと同じような性能を持つ宝箱などが発見されておる。だが今の所、それらを作り出せたという話は聞いておらぬが……はっ! まさか!」
お爺さん司祭様はね、ちょっと難しい顔して考えた後、なんだかびっくりし方個で僕の方を見たんだよ。
だから僕、思わずビクッてしちゃったんだけど、そんな僕たちを見たロルフさんは違う違うって笑ったんだ。
「いくらルディーン君でも、マジックバッグを作りだす事などできぬよ。これはな、魔法の触媒なのじゃ」
「触媒とな? しかし属性魔石を使った魔法など、聞いた事が無いのだが」
「まぁ、そうじゃろうな」
僕が使えるようになるまで、ジャンプの魔法はだぁれも知らなかったでしょ?
だから当然お爺さん司祭様も、この魔石がジャンプの転移場所の印をつけるためにいるんだって事、知ってるはずないんだよね。
「あっ! ロルフさん。これって村の人にもないしょにしてって言ってたけど、司祭様はいいの?」
「うむ。当時はわしもラファエルがグランリルで司祭をしておるなどと知らなかったからのぉ。じゃが、こやつば誰彼構わず話すような者ではない。教えても構わぬじゃろうて」
ロルフさんはね、僕がジャンプの魔法が使える事をいろんな人が知っちゃうと、そのせいで悪もんが来ちゃうかもしれないから内緒にしてねって言ったんだって。
でもお爺さん司祭様だったらそんな事絶対しないから、教えてあげてもいいんだってさ。
「そっか。お爺さん司祭様、この魔石はね」
「おっと、ルディーン君。それはあらかじめ教えず、実際にその目で見たもらった方が説明も省けて良いじゃろう」
あとは魔石に魔法陣を刻んで、このお部屋の隅っこにマーキングしたらジャンプの魔法は使えるようになるでしょ?
だからロルフさんは、説明するより見せた方が早いよって言うんだ。
そう言えばそうだよね。
って事で僕はステータスを開くと、魔法のページからジャンプを選択。
そしたらそこにマーキング用の魔法陣が書いてあるから、それを見ながら僕はその魔石に魔法陣を刻んでったんだ。
「じゃあ印、つけちゃうね」
でね、僕はそう言うとお部屋の隅っこに走ってって、そこにポイって魔石を放り投げたんだ。
そしたらその魔石を中心にして、赤く光るいろんな記号がいっぱい書かれた魔法陣が広がってって、ある程度の大きさになったらぱぁって光の粒になって消えてったんだよね。
「ふむ。やはり複雑すぎて、あの短い時間ではどのような魔法陣か理解するのは無理そうじゃのぉ」
「そうですわね」
前に見せた時も、ロルフさんとバーリマンさんはこの魔法陣を見て覚えようとしたんだよ。
でもそんなに長い間出てるわけじゃないから、二回目でもやっぱりどんな魔法陣だったのか解んなかったみたいなんだ。
「ふむ。確かにかなり複雑な魔法陣ではあったが、これで終わりなのか?」
「そんな訳なかろう? これはあくまで準備段階じゃ。それではルディーン君。早速見せてやってもらえるかな」
「あっ、ちょっと待って」
僕ね、ジャンプで飛べる場所はまだ3つまでしか設定できないんだよね。
今はもう僕んちとロルフさんち、それにイーノックカウの西門の外にあるおっきな木の陰の3つにマーキングしてるから、そのうちのどっか一つをここに書き換えないとダメなんだよね。
「う〜ん、何処を消そうかなぁ」
僕んちのは帰るのにいるから、絶対消せないでしょ?
となると後はロルフさんちと、西門の外にあるやつか。
う〜ん、どっちを消してもいいんだけど、ストールさんがこのお家に来るんだったらロルフさんちに飛んでもイーノックカウに連れて来てもらえないくなるよね?
西門の外のだって今までいっぺんも使った事が無いんだから別に消しちゃってもいいんだけど、でも消さなきゃダメな理由もないから僕はロルフさんちの方を消す事にしたんだ。
「これでよしっと。ロルフさん。もうロルフさんちに行けなくなっちゃったけど、いいよね?」
「うむ。ここに館を構えるのじゃから、もうあそこに行く理由もない。特に問題は無かろう」
ここだったら錬金術ギルドにも冒険者ギルドにも歩いて行けるもん。
なのにロルフさんちに飛んでったらまた誰かに馬車で送ってもらわないとダメだから、もうあのお家にはいかなくてもいいよってロルフさんは笑ったんだ。
「では改めて。ルディーン君。実践して見せてくれるかな?」
「うん! じゃあ僕、お外に出るね」
「そこの娘らも、よく見ておくのじゃぞ。これがおぬしらが決して外部に漏らしてはならぬ、ルディーン君最大の秘密なのじゃからな」
そう言われたキルヴィさんたちはね、ロルフさんが指さした僕がさっき魔石を放り投げたとこを真剣なお顔で見つめたんだ。
でね、僕はみんなを待たしちゃいけないからって、ドアをうんしょって開けて一度部屋の外へ。
そのままドアをパタンって閉めてから中に聞こえるようにおっきな声で、
「じゃあ、いくよぉ〜!」
そう言ってから、体に魔力を循環させてジャンプの魔法を発動。
一瞬でさっきマーキングした場所に飛んでったんだ。
「どうじゃ。これがルディーン君だけが使える転移魔法、ジャンプじゃ。驚いたであろう」
ロルフさんはね、お姉さんたちに向かって笑いながらすごいでしょって。
そしたら確かにびっくりはしたみたいなんだけど、
「へぇ、ルディーン君。そんな魔法まで使えるのね」
「ゴブリンだって魔法で数匹一度に倒していたし、ルディーン君は本当に魔法が上手なのね」
どっちかって言うと、こんな魔法まであるんだねって感心してるみたいなんだよね。
そう言えばお父さんも僕が初めてジャンプの魔法を見せた時、びっくりしたって言うより便利な魔法を覚えたなぁって思ってたみたいだもん。
魔法をあんまり知らない人は、みんなこんな感じなのかも?
でもね、
「なっ……」
「なっ?」
「何て魔法をいきなり見せるのだ! あまりの事に、心の臓が止まるかと思ったぞ!」
魔法の事を、というより転移魔法の事をよく知ってるお爺さん司祭様は僕が使ったジャンプの魔法を見て、ひっくり返りそうな顔でびっくりしてたんだ。
お姉さんズにとっては、ジャンプの魔法も多段式マジックミサイルもただ凄い魔法って言うだけなんですよね。
なにせ魔法を使える人自体が周りにいないのですから、びっくりするというよりすごいなぁ、便利だなぁ、私も使えたらいいのになぁ位にしか感じないんですよ。
しかしこれがお爺さん司祭様となると話は変わってきます。
なにせ転移魔法は空を飛ぶ魔法同様、失われた魔法だと知っているのですからね。
そんなものを何の前知識もなくいきなり見せられたら、高齢の司祭様なので下手をしたら本当に心臓が止まっていたかもしれませんねw